引っ張ると引っ張り返される。お散歩中の「力比べ」を卒業するために必要なこと

お散歩中、愛犬がグイグイとリードを引っ張っている時。それは単に「早く行きたい」というわがままではなく、愛犬が「過緊張」や「過興奮」に陥っているサインかもしれません。

本来、野生のオオカミたちは移動の際、無駄なエネルギーを使わず、とてもリラックスしながら移動しています。群れの中で「いつ歩き出し、いつ立ち止まるか」の主導権を握っているのは常にリーダーですが、オオカミのリーダーは、力でねじ伏せて先頭を歩くようなことは決してしません。

そんな落ち着いて状況を判断するリーダーがいるからこそ、群れ全体が安心して歩調を任せられるのです。

引っ張りの背景にある心理と社会化

人間社会で暮らす犬たちも、本来は同じ性質を持っています。
しかし、家族の中に「頼れるリーダー」がいないと感じると、彼らは「自分が前を歩いて家族を導かなきゃ、守らなきゃ」と、必死に気を張ってしまいます。

あるいは、単にルールを守らなければいけないことの危険性を、「まだ教わっていない・知らないだけ」という社会化不足が理由であることも多々あります。理由がどちらであれ、愛犬を危険や過緊張から守ってあげるためには、私たち人間がしっかりと「オオカミのリーダー」の役割を担ってあげなければいけません。

リードは感情を同期するツール

ここで一つ、本質的な視点を持つことが大切です。
リードは、愛犬をコントロールするための紐ではなく、お互いの感情をリアルタイムで同期するコミュニケーションツールです。

人間側の「引っ張られないようにしなきゃ」という想いや力みは、リードを通じて瞬時に愛犬に伝わります。すると愛犬も、その緊張に反応するように「引っ張られないようにしなきゃ」と思ってしまい、結果として飼い主を強く引っ張るという悪循環が生まれます。

「引っ張ると、引っ張り返される」

このループを断ち切るには、無理に相手の主張を制止しようとするのではなく、オオカミのリーダーのように落ち着いた行動で「こっちで決めるから安心して」と伝えてあげる姿勢が求められます。

穏やかなお散歩のために知っておきたいこと

Q
愛犬が引っ張る時、飼い主はどのような対応をとればいいですか?
A

アプローチはとてもシンプルです。リードが張ったら「止まる」、緩んだら「歩き出す」。これを一貫して繰り返してください。言葉で叱るのではなく、あなたの「動き」という事実で、主導権が人間側にあることを伝えていきます。

Q
興奮して引っ張り続けてしまう犬に、まずできることは何ですか?
A

まずは私たち人間がふぅっと深呼吸をして、肩の力を抜くことです。リードという電話線を通じて、飼い主のリラックスを愛犬に伝える。愛犬の強張った感情をほぐす第一歩は、そこから始まります。

静かな強さを持って歩く

愛犬を過緊張から守り、安心させてあげること。
それはオオカミのリーダーがそうであるように、静かな強さと落ち着きを持って振る舞うことから始まります。

力比べを卒業し、心を通わせるお散歩へ。明日から、まずは自分自身の呼吸を整えるところから始めてみませんか。

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