朝の公園や住宅街を歩いているとき、前方に犬の姿が見えた瞬間にリードをピーンと張り、激しく吠えかかる──。
「離れたら落ち着くのに、近づけないから挨拶もできない」「毎日の散歩が緊張タイムでつらい」……そんな**リードリアクティブ(リード下で他犬に過度反応)に悩む飼い主さんは少なくありません。
犬にとって散歩は外の刺激を探検する大切な時間ですが、強い警戒心やフラストレーションが混ざると、吠えや突進という行動で感情を放出してしまいます。
本記事では「なぜ他犬に吠えるのか?」**を本能と学習の両面からひもとき、3段階トレーニング+ハンドラーの立ち回りで“落ち着いてすれ違える散歩”へ導く方法をQ&A形式で解説します。ぜひ最後まで読んで、今日から実践してみてください。
なぜほかの犬に吠えかかる?本能と学習メカニズム
犬の祖先オオカミは限られた獲物や縄張りを守るために、見知らぬ群れを遠ざける本能を備えていました。現代犬にも「距離を保ちたい相手に吠えて追い払う」スイッチが残っており、リードで自由に逃げられない状況ではその衝動が増幅しがちです。さらに――
- フラストレーション:近づきたいのにリードで制限され「会いに行けない!」という葛藤が吠えに変換。
- 過去の負の経験:散歩中に吠えられた・噛まれたなど怖い思いが「予防吠え」を強化。
- 飼い主の緊張:リードを強く引く、声を荒げるなどハンドラーの不安が犬へ伝染し防衛スイッチが入りやすくなる。
こうして「他犬=危険/興奮」が刷り込まれ、見るだけで吠えモードへ直結してしまうのです。

吠えが固定化する悪循環
①他犬を発見 → ②吠える・突進 → ③相手が去る or 距離が取れる → ④**「吠えれば追い払える!」の成功体験**
このループが繰り返されるほど吠えは強化され、距離が離れていても反応する“遠隔リアクティブ”へ発展してしまいます。
改善のカギ!3段階トレーニング
Step 1.“安全距離”で見るだけ練習
- 他犬が視界に入っても吠えない距離(※臨界距離の外側)をキープ。
- 犬を見る→即座におやつを口元へ。視線を戻したら再び褒める。
- おやつを食べられる=まだ余裕がある証拠。数回成功したら1mだけ距離を縮め、吠える前にご褒美を重ねる。
Step 2.“すれ違いルーティン”で行動を置き換え
- 他犬が来たら**「ヒール(脚側)」**と声をかけ、進行方向を自分の体でブロック。
- 犬があなたの顔を見る→ご褒美を与えながら数歩歩く。
- すれ違い直後にも褒め、ご褒美を追加。
すれ違い=「飼い主に集中すれば良いことが起こる」と再学習させるのが狙いです。
Step 3.“ディブリーフ”で余韻をリセット
- すれ違い後 5〜10 秒は深呼吸ウォーク(歩幅を落としてゆっくり匂い嗅ぎOK)。
- 交感神経の高ぶりをクールダウンさせることで、次の犬に会った際の閾値が下がりにくくなります。

ハンドラーが覚えておきたいコツ
- リードはJ字キープ:張った瞬間に緊張メッセージが伝わる。余裕のある長さを保ち、コントロールは体の位置で。
- 横から弧を描くすれ違い:正面衝突は犬同士の礼儀ではNG。軽く弧を描く進路でプレッシャーを減らす。
- トリーツ価値は刺激に比例:近距離のすれ違いでは茹でササミ、遠距離はドライフードなど差をつけモチベ維持。
反応が出たら“Uターン即離脱”
吠えが始まったら深追いせず、180°方向転換→息を吐きながらゆっくり離脱。パニック域での練習は逆効果になるため、“失敗を小さく切り上げる” が鉄則です。
Q&A:よくある疑問に答えます
Q1:他犬を見たらおやつも食べません
臨界距離が近すぎます。まずは100 m離れた公園の端などで視界に小さく入るレベルからスタート。食べられる距離で“見る→食べる”を繰り返し、徐々に距離を詰めましょう。
Q2:吠え始めた後、おやつで釣るのはダメ?
吠えの最中に与えると「吠え=ご褒美」と誤学習の恐れ。吠えが止まり視線が戻った瞬間をねらって報酬を与え、“静かでいられる”行動を強化してください。
まとめ
散歩中の他犬への吠えは
①縄張り・警戒/接近フラストレーション ②成功体験の積み重ね ③ハンドラーの緊張
が複合して強化されます。
- 吠えない距離で“見たらご褒美”を刻み、安心貯金を蓄える
- 脚側&弧すれ違いで“飼い主に集中=得”の新ルールを作る
- 失敗を引きずらず離脱→クールダウン で次の成功率を守る――
この3ステップ+日々の丁寧な距離調整を1〜2か月継続すれば、多くの犬は「他犬=落ち着いてやり過ごせる対象」に書き換わります。叱責より成功体験の積み上げがカギ。
さっそく今日の散歩から“見る→褒める→離脱”を意識し、ストレスフリーなお出かけを取り戻しましょう!
