愛犬がごはん中に近づくと歯をむいて唸る、ボールをくわえたまま離さず唸り声――。「取らないよ」と声をかけても緊張が解けず、うっかり手を伸ばせば噛まれる危険もあります。
これはリソースガーディング(資源防衛行動)と呼ばれ、“食べ物やおもちゃ=貴重な資源”を守ろうとする犬本来の本能が過剰に表れたもの。叱って取り上げると“守らなきゃ! → もっと激しく防衛”の悪循環に陥りやすく、放置すれば家族間トラブルはもちろん、来客や子どもとの事故につながる恐れも。
ここでは本能と学習メカニズムをひも解き、段階的トレード練習×環境マネジメントで「守らなくても安心」を教える実践ステップを紹介します。今日から取り組み、平和な食事&遊び時間を取り戻しましょう。

なぜ守る?犬の本能と学習メカニズム
| 要因 | 行動への影響 |
|---|---|
| 野生時代の“獲物死守”本能 | 取られれば生死に直結したため、奪われそうな気配に敏感 |
| 過去に奪われた経験 | 食器を下げられた、咥えた物を即取り上げられた→“来られたら取られる”学習 |
| 高価値アイテム限定 | 乾燥フードは平気でも牛骨・新しいおもちゃで防衛が強化されやすい |
| ストレス・不安 | 留守番や環境変化で情緒不安定になると資源確保行動が強まる |
ポイント:唸りは「それ以上近づかないで」のサイン。叱って黙らせても根本の不安は残り、次は噛みつきで表現するリスクが高まります。
防衛行動が強化される典型パターン
- 犬が食べる/遊ぶ
- 飼い主が取り上げる
- 犬「取られた!」と学習
- 次回から唸り→飼い主が一歩引く
- =“唸れば回避できる”成功体験 が定着
守らなくても安心!3ステップ対策プログラム
Step 1.環境マネジメントで“成功ゼロ”を作る
- 食事・ガムは静かな別室かクレート内で与え、途中で取り上げない。
- おもちゃは数を減らし、出す物を管理(遊び終わったら片づける)。
- 子どもや他犬が近づけないレイアウトにし、守る必要性を感じさせない。
Step 2.“トレードゲーム”で信頼を構築
- 犬が低価値おやつを咥えたら、より高価値トリーツを鼻先へ。
- 犬が落としたら「いい子!」と声掛け&高価値トリーツを手渡し。
- 落としたアイテムはすぐに返す(取られない安心感を作る)。
- 成功率80%で価値を徐々に上げ、最終的に食器・大好物でも交換可を目指す。
Step 3.“放して”の合図を教える
- トレードでスムーズに口を開くようになったら、交換直前に**「ちょうだい」「アウト」**を追加。
- 合図→口を開く→ご褒美→アイテム返却、を繰り返して言葉=良いことの予告にする。

場面別ミニテクニック
| シチュエーション | コツ |
|---|---|
| 食器を下げたいとき | 近づく前に“お皿に追加トッピング”→犬が顔を上げた隙に静かに下げる |
| 散歩中の拾い食い | 「アウト」⇨高価値トリーツですかさず交換、拾い食い記事のLeave it練習と併用 |
| 多頭飼いの骨ガム | 各犬を別スペースに分け、終わったらガムを回収→同時に再集合しトリーツ配布 |
Q&A:よくあるお悩みを解決
Q1:唸ったときに引かずに続けると危険?
はい。唸りは“安全弁”。無視すると咬傷に発展しやすいので一旦距離を取り、後日低価値アイテムからトレードを再開してください。
Q2:交換するとき手を噛まれそうで怖い…
トングや投げ込みでトリーツを渡し、慣れるまで手では直接触らない方法でOK。徐々に距離を縮めましょう。
追加のヒント
- 満腹度を下げて練習:空腹ピーク時は防衛が強まりやすいので、食後の落ち着いたタイミングで開始。
- 口を使う知育トイで発散:引っ張りロープやKONG®で“合法的に保持&離す”経験を積むと自信UP。
- プロのサポート:強い攻撃行動が出る場合は行動専門獣医師・トレーナーへ早めに相談。
まとめ
リソースガーディングは
①本能的資源防衛 ②取られた経験 ③唸りで成功した学習
で強化されます。
- 守る必要がない環境を整え、
- トレードゲームで“放すと良いこと” を刷り込み、
- 「ちょうだい」合図を条件づけ――
この流れを数週間~数か月続ければ、「取られない安心感」と「放すと得」の認識に書き換わります。叱責より信頼と予測可能性の構築がカギ。今日から一歩ずつ始め、安全で穏やかなフード&おもちゃタイムを取り戻しましょう!
